【解決事例1】 「突然異母兄弟から手紙が・・・相続から1年以上経って相続放棄はできるのか?」
【解決事例1】相続関係図
1. ご相談内容
ご相談者のAさんは、自身が幼い頃に母が離婚し、その後長年の間父と疎遠になっていました。あるとき突然、父の後妻の子どもと名乗るBさんから突然手紙が届き、父が1年程前に死亡したことを知りました。手紙には相続に関することが書いてありました。当然AさんはBとの面識も無く、父が残した財産のことも全く知りませんでした。Aさんは自分がどうすれば良いか分からず、弊社に相談に来られました。
2. Aさんの状況と弊社のアドバイス
相続人となる人は、民法という法律に定められています(リンク)。Aさんの場合、亡くなった父の実の「子」ですから、法律上当然に相続人となります。遺言書を残していた場合などを除き、亡くなった方の財産の名義変更や預貯金を解約するためには、相続人は全員で、「遺産分割協議(財産や負債をどのように分けるか話し合うこと)」を行う必要があります。Bさんは、それを知って遺産分割協議を進めるためAさんの住所を調べて手紙を送ってきたようです。
相続人は、どのような形で相続するかを選択することができます。選択肢は、単純承認・限定承認・相続放棄の3つです。Aさんは、長年疎遠であった父から財産を相続したいとは思わないし、Bさんと話し合いをしたいとも思いませんでした。借金があったりする可能性もあるので、できることなら一切関わりたくないとのことでした。そこで、相続放棄という選択をおすすめすることにしました。
3. 解決のポイント
相続放棄の手続きには、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から「3ヶ月以内」に行わなければならないという期限があります。Aさんの場合、父の死亡を知ったときには既に約1年が経過しており、もはや相続放棄は認められないのではないかとも考えられます。
しかし、この「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、一般的に、①相続開始の事実を知り(=被相続人が亡くなったことを知り)、かつ、②そのために自分が相続人となったことを知った時、とされています。これをAさんに事案に当てはめてみると、Aさんが相続開始の事実を知った時とは、「Bさんからの手紙が届き父の死亡を知った時」ということになります。つまり、Aさんの場合、父の死亡からは3ヶ月を過ぎていますが、「Bさんからの手紙が届き父の死亡を知った時」から3か月は経過していないため、相続放棄が可能な状況でした。
その後、弊社で相続放棄に必要な書類を早急に収集・作成し。管轄の家庭裁判所へ提出しました。2週間ほどして無事に相続放棄が完了しました。完了報告の際のAさんのとても安心された表情が印象的でした。
相続から3ヶ月を経過しているからといって、相続放棄ができないわけではありません。諦めずに専門家に相談してみましょう。
司法書士法人ミラシア・行政書士事務所ミラシア 代表
株式会社ミラシアコンサルティング 代表取締役
生前対策実務家倶楽部ミラシア 代表
千葉商科大学 特別講師
一般社団法人OSDよりそいネットワーク 理事
日本弔い委任協会 理事
相続、遺言、後見、家族信託などが専門。終活・相続関連の相談実績は累計1,000件を超える。
豊富な経験・事例を基に、“オーダーメイド”の終活・相続対策サービスを展開している。
【保有資格】
司法書士・行政書士・宅地建物取引士・AFP
【メディア実績】
フジテレビ「とくダネ!」、産経新聞、東京新聞、毎日新聞、夕刊フジ、ハルメク、週刊朝日、サンデー毎日、他多数