【解決事例4】 「え?私が相続人に?…先順位者の相続放棄に要注意」
【解決事例4】相続関係図
1. ご相談内容
ご相談者のAさんには、年の離れた兄Bがいました。数ヶ月前、病気のため闘病生活が長く続いていたBが亡くなりました。Bには妻Cと子Dがいましたので、Bの相続には自分は無関係と思っていました。
しかし、四十九日が終わり程なくして突然、兄の妻Cから連絡があり、「私とDは相続放棄をしたので、次はAさんが相続人になりますよ。」と言われたそうです。どうやら、Bには多額の借金があったようです。突然の出来事に慌てたAさんは、弊社に相談に来られました。
2. Aさんの状況と弊社のアドバイス
相続が発生した場合、原則として相続人は財産と債務の全てを引き継がなくてはなりません。誰が相続人になるかは、民法という法律で定められています(相続人については、「相続放棄前に必ず確認!相続人には誰がなるの?」をご確認ください。)。今回は、Bの配偶者であるC、Bの子であるDが相続人になります。したがって、CとDが借金を含む全てを相続することになります。
しかし、相続人は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から「3ヶ月以内」であれば、家庭裁判所に相続放棄を申立てることができます。相続放棄をすることにより、「はじめから相続人でなかったもの」とみなされることになりますなで借金などの負債から免れることができます(逆に預貯金などのプラスの財産を相続することもできなくなります)。今回は、借金を相続しないようにするために、CとDは共に相続放棄を行っていたのです。
そして、CとDの相続放棄によってBの相続権は、民法に従って次の順位の人に渡ります。法律上、次の順位はBの直系尊属(親)ですが、既に他界していました。さらに次の順位はBの兄弟姉妹であるAさんということになります。つまり、Bさんの借金をAさんが引き継がなくてならないということになります。
そこで、CとDと同様に、Aさんも相続放棄を行うようアドバイスをしました。
今回のケースでは、Bさんの死亡からすでに3ヶ月を経過していましたが、Aさんの相続放棄は、先順位の相続人であるDが相続放棄をしたことにより「相続権がAさんに移ってきたことを、Aさん自身が認識したとき」から3ヶ月以内であれば認められることになりますので、Aさんは速やかに弊社で相続放棄の手続きを行いました。
3. 解決のポイント
当初の相続人が相続放棄をすることによって、知らぬ間に相続権は次の順位の人へ移っていきます。しかし、3ヶ月の期限はそのまま到来してしまう訳ではなく、上記でみたとおり、「自分が相続人となったことを認識したとき」から3ヶ月の期限が進行します(なお、Aさんが相続放棄をすることによって、Aさんの子供たちに相続権が移ることはありません)。
借金を残して亡くなった親族がいる場合には、回りまわって自分が借金を引き継ぐ可能性があるかどうか確認をしておくと良いでしょう。
司法書士法人ミラシア・行政書士事務所ミラシア 代表
株式会社ミラシアコンサルティング 代表取締役
生前対策実務家倶楽部ミラシア 代表
千葉商科大学 特別講師
一般社団法人OSDよりそいネットワーク 理事
日本弔い委任協会 理事
相続、遺言、後見、家族信託などが専門。終活・相続関連の相談実績は累計1,000件を超える。
豊富な経験・事例を基に、“オーダーメイド”の終活・相続対策サービスを展開している。
【保有資格】
司法書士・行政書士・宅地建物取引士・AFP
【メディア実績】
フジテレビ「とくダネ!」、産経新聞、東京新聞、毎日新聞、夕刊フジ、ハルメク、週刊朝日、サンデー毎日、他多数